私の母方の祖母は着付けの講師をしていましたし、元々神戸のお嬢様で育っていたので着物が好きで高価なものをたくさん買っては着ていました。そして自分の娘に女の子が2人生まれた時には、この子達が成人式で着られるようにとそれぞれに反物を買っておいてくれたのです。

姉は薄いピンクで裾には可憐な花が咲き乱れている反物で、私のは紫で全体に大きく花が描かれている反物でした。今から考えるとどんな娘に育つか判らないのによく生まれると同時に買うなあと呆れもするのですが、姉は小柄で童顔、私は長身で細身、きつめの顔立ちと、それぞれの反物がとても似合う娘に成長しました。

いざ成人式が近づいてくると、一年前から祖母は反物を自分でつくろって振袖にしてくれたのです。勿論着付けも自分がするといって聞かず、成人式には出席予定ではなかったのですが前日から来て嬉しそうに着付けてくれたものです。その顔や嬉しげな様子を見ると式には出席せずにアルバイトへ行くとは言えず、結局アルバイト先に事情を話して謝り、成人式へと出席しました。友達とおばあちゃんが自慢の振袖の姿の写真を撮れば、それで喜んでくれると思ったのです。

式は思ったよりも楽しく、幼馴染など会いたくないなあ、高校の時の友達だけでいいんだけどな、などと思っていましたが、式場で小中学校で一緒だった同級生にたくさん会ううちに楽しくなってきて、出れて良かった、と心の底から思いました。そしてその場で、懐かしの同級生の中でも中学生の時に片思いしていた男の子に再会したのです。驚きましたが周囲に友達もいたので同級生の一人として話しかけると相手も覚えてくれていて、しかもその時かよっていた大学も一緒であると判ったのでした。大きな総合大学だったので同級生といっても同じ学部の人くらいしか会うことはなく知らなかったのですが、大学が同じと知って盛り上がり、その後大学で会う約束をしたのです。

それから半年後には私はその時の同級生、中学生のころに片思いをしていた男の子と付き合うようになっていました。大学時代から4年付き合って、そして卒業後新社会人になったところで結婚。あまりにもスムーズに進んだのですが、よく考えたらあの時おばあちゃんがいなかったらそもそも成人式には行ってなかったのだった、と思って祖母に感謝を伝えると、祖母はにっこりと大きな笑顔で言ったのです。「だって振袖姿の娘さんは、本当に輝くのだからね。そのために20年も前からおばあちゃんは用意していたのよ」って。こうなることを予想していたわけではないでしょうけれど、お見合い写真に使えるような姿に、と思っていたと知ってビックリしました。私に素晴らしい家庭が出来たのは、おばあちゃんのお陰であるところが大きいのです。

大切な着物はいつまでも持ち続けたいですが、もし着物を売るときが来たら、着物 売る どこをしっかりと決めて、評判の良い着物買取業者さんにお渡ししたいと思います。